『世界最先端の戦略がわかる amazon』でこれからのビジネス戦略を学ぶ では、2018年8月8日に発売された『世界最先端の戦略がわかる amazon』についてご紹介します。
前回の記事まで、約2ヶ月間に渡ってフィリピン・セブ島旅行についてご紹介してきましたが、前回の記事で全てをご紹介しました。
今回は久しぶりに本の紹介をしようと思います。
ご紹介する本は『世界最先端の戦略がわかる amazon』です。
amazonと聞くと、今の時代知らない人はほとんどいないのではないでしょうか。
一番有名なところでいうと世界最大のECサイト『Amazon.com』でしょう。
しかしながら、実はamazonが手がけている事業はECサイト以外にもたくさんあるんですね。
そしてそれぞれの事業が大きくなりすぎて今やamazonなしではビジネスが成り立たないほどの存在感を示しています。
本書では、そんな急成長したamazonの事業内容の紹介はもちろん、同社の経営の仕組みについても紐解いています。
私自身、読んでいてとても感銘を受けました。
そして本社の著者は元マイクロソフト社長の成毛眞さんですからね。私は書店で見つけた瞬間即買いでした(笑)。
ここでは、『世界最先端の戦略がわかる amazon』の私が勝手に面白いと思った部分をかいつまんでご紹介します。
もし本記事を読んで『面白そう』と思っていただけたらぜひ購入して実際に読んでみてください。
目次
『世界最先端の戦略がわかる amazon』でこれからのビジネス戦略を学ぶ
1. Amazonの歴史
まずはAmazonという会社について簡単にご紹介します。
Amazonは1994年にジェフ・ベゾスさんによって創設されました。
当時の社名はCadabra.comで、事業は本のオンライン販売でした。
もともとEngineerの学士号を持っていたジェフ・ベゾスさんは、当時インターネットの可能性に気づき起業します。
この辺りの先見性と行動力はさすがですね。
当時オンラインのお店を作ろうと思い立ったそうですが、何を売るかは正直なんでもよかったそうです。
保存しやすいという点で本の販売に決めたそうですね。
創業してからしばらくは苦戦が続きましたが、売り上げが軌道に乗ってきた頃にジェフ・ベゾスさんは大胆なインフラ投資をどんどん実行していきます。
そして今となっては正解最大のECサイトに成長されました。
2018年9月には、アップルに続いて世界で2番目となる時価総額1兆ドルを突破しました。
同時期の日本の時価総額最大の会社はトヨタで約22兆円です。
Amazonはその5倍以上の時価総額になります。
もはや大きすぎて意味がわかりませんね。
そして驚くのはその成長スピードです。
Amazonが創設されたのは1994年です。
つまりたったの24年で1兆ドルを突破してしまったのです。
そして今でも成長は止まっていません。
むしろ加速しているように感じます。
これからが楽しみな限りです。
2. ポイントはCCC!amazonの圧倒的なキャッシュ力
ここからはAmazonがどうしてここまで急激に成長できたのかその理由について簡単にご紹介していきます。
まずは何と言ってもAmazonの強みの一つは圧倒的なキャッシュ力にあります。
キャッシュ力とはいわゆる現金をたくさん持っているということを意味します。
そしてこの圧倒的なキャッシュ力を理解するために重要になるのがキャッシュフロー、その中でもCCCと呼ばれるものです。
キャッシュフロー経営という言葉がある。ベゾスが重視し、アマゾンの成長を支えるのが、このキャッシュフロー経営だ。
キャッシュフロー経営とは、ひとことでいうと「その会社の現金が、どう調達されて、どう使われたか」をきちんと把握する経営のことだ。
とてもシンプルですよね。
その中でもAmazonのキャッシュ力のすごさを表しているのがCCCです。
CCCとは「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」を意味します。
意味がわかりませんね。
簡単にご説明しますと、これは「仕入れた商品を現金化するためにかかる日数」を示します。
小売業界の一般的なCCCはだいたい10〜20日ほどです。
しかしAmazonのCCCはなんとマイナスです。
これはつまり仕入れする前にすでに現金があることになります。
これがAmazonの強さの秘密です。
これだけだとしっくりこないと思う方もいらっしゃると思いますので補足しますね。
通常、CCCがプラスの場合、仕入れの段階では現金がありません。
つまり仕入れ時に現金が必要となる場合にはどこかで調達する必要があります。
一番身近な方法としては銀行による借り入れです。
銀行からお金を借りて資金を調達し、その資金を利用して商品を仕入れます。
そして商品の売り上げ代金から銀行へお金を返済します。
これが一般的な流れです。
この場合、お金を銀行から借りる必要があるのでもちろん審査もありますし、返済には利子が付きます。
しかしながらAmazonの場合、CCCはマイナスです。
すなわち、仕入れの段階ではすでに手元に現金があるということを意味します。
つまり仕入れ時銀行などから資金調達する必要がないのです。
借金もないので失敗してもそこまで大きな影響はありません。
これがAmazonの強さの一つです。
しかしこの記事を読んでいると疑問が出てきますよね?
「なんでAmazonのCCCはマイナスなのか」と。
その答えは我々が知っている身近なサービスにあります。
それがAmazon Prime会員です。
過去に記事でもAmazon Primeのすごさについてはご紹介しています。
Amazon Primeは年会費を払うと配送料が無料になったり、音楽のストリーミングサービスが利用できたり様々なサービスが受けられる有料会員サービスです。
本書が発売された2018年8月時点の会員費は年間で3900円です。
つまりAmazonはまずPrime会員の会費を手に入れた上で事業を起こすのです。
そしてPrime会員の方は通常会員の方よりも多くAmazonのサービスを使っているので、Amazonは資金を得られることで新たな事業に挑戦しやすくなり、また会員は便利なサービスを受けられて、完全なWIN-WINの関係です。
ちょっと豆知識ですが、Amazon Prime会員と同じような仕組みで大成功を収めている小売業界の会社があるんです。
そして実際にジェフ・ベゾスさんはこちらの会社の創業者の方から色々と学んだそうです。
みなさんどの会社かわかりますかね?
正解は・・・『コストコ』です。
もしかしたらご存知ない方もいるかもしれませんので簡単にご紹介します。
コストコは会員制の大型倉庫店です。
コストコは、会員費を支払う代わりに原価に近いお得な価格で商品を購入することができます。
日本でも最近人気ですよね。
そしてコストコの利益の内容がとても面白んですね。
なんとコストコが叩き出している利益のほとんどが会員費なんです。
つまりコストコの戦略はこうです。
『会員になって会費で利益をもらうお返しとして、原価に近い価格で商品を提供する』
こちらの仕組みを参考にしてできたサービスがAmazon Primeサービスです。
このサービスによりAmazonは圧倒的なキャッシュ力を手にします。
3. 近年のデフレ経済の原因はamazonにあり?
次にご紹介するのはAmazonが近年の経済に与える影響力の大きさを示すものです。
それはなんと『近年のデフレ経済の原因の一つはAmazonにあり』というものです。
なかなかぶっ飛んだ内容ですが、しっかり本書を見ていくとあながち間違いとは言えなそうです。
まずはデフレについてはみなさんご存知ですかね。
簡単にご説明しておきますと、デフレとは『物価が下がる=お金の価値が上がる』ことを意味します。
つまり今年1個100円で変えたリンゴが翌年には99円になっているような状態を指します。
この場合、デフレ率は1%になります。
反対の言葉はインフレです。つまり物価が上昇する状態を指します。
この辺りの説明は過去の記事でもう少し詳細に説明していますので、もしご興味があれば合わせてご覧ください。
一般的には、経済の成長を考えた場合、ある程度のインフレが望ましいというのが一般的な考えです。
なので世界の主要な中央銀行は2%のインフレをターゲットに金融政策を実施しています。
ある程度のインフレが望ましい理由はたくさんあるのですが、わかりやすいところでいうと借金の返済が挙げられます。
例えば100万円の借金をしたと考えましょう。
単純化のために、返済期間は1年とし、利息は3%とします。(こんなケースなかなかありませんがw)
この場合、100万円を借りると翌年に103万円を返済することになります。
つまり3万円多く返すことになりわけです。
そしてこれはインフレを一切加味していません。
ここで最近の世界の標準となっている2%のインフレが達成している状態を想定します。
この場合、物価は年間2%のスピードで上昇します。
つまりお金を価値はどんどん下がっていきます。
今年1個100円で買えたリンゴは翌年には102円になっています。
この時話を借金に戻すと何が起こるでしょうか。
今年100万円を借りるとそのお金は翌年価値が下がり翌年には102万円の同価となります。
それに対して利息は3%です。
この時、実際の返済額は103万円で変わりありませんが、お金を価値を考慮すると実際に多く支払う額はインフレの2%分(2万円)を除いた1万円となります。
つまり、インフレの状態では銀行で借りたお金の利息が目減りするのです。
そうすると借りる側も返済が幾分か楽になります。
このようなインフレを考慮した利息つまり金利のことを実質金利と呼びます。
それに対してインフレ率を加味していない金利のことを名目金利と呼びます。
関係式で表すとこんな感じです。
実質金利 = 名目金利 - インフレ率
なんか経済の授業みたいになってますがご容赦ください。
この実質金利の意味を理解するとデフレ経済で何が起こるのかを想像することができます。
前述の通り、デフレ経済下では物価はどんどん下がっていきます。
今年100円で買えたリンゴは翌年99円になっています。
つまりお金の価値が上がっていくんですね。
この時、先ほどと同様に銀行から100万円借りた場合何が起こるでしょう。
1年後には返済額は103万円で変わりありませんがお金の価値としては下がっています。
つまり今年借りた100万円の価値、翌年には99万円と同価です。
つまり返済額は103万円でも、デフレを考慮すると実際に多く払う額は4万円になります。
これでは借金の返済が難しくなり経済が成長しづらい状況になります。
したがって、各国の中央銀行は2%程度の緩やかなインフレをターゲットに金融政策を実施しています。
かなり脱線してしまいましたが、話を元に戻しますと、Amazonがデフレ経済の原因の一つとなったということであります。
デフレ経済の原因の一つとして考えられているのがズバリ、Amazonが提供する商品の安さです。
Amazonはどの店舗よりも安い価格で提供していることを強みにしています。
これは言い返せばAmazon以外の既存店は価格を上げられなくなることを意味します。
理由は単純で、消費者はどうしても同じものであればなるべく安く買いたいという心情が働きます。
既存店で商品を確認してからAmazonで同商品を確認して、そちらの方が低価格であれば消費者は基本的にはAmazonで購入してしまうでしょう。
購入後、自分で持ち帰る必要もありませんし楽チンです。
つまり既存店がAmazonに対抗するには、Amazonと同程度あるいはそれ以上に安くするか、その他の付加価値をつける必要に迫られます。
そして実店舗の場合は人件費などがかかりますが、AmazonはECサイトですのでそのような費用はかかりません(もちろんサーバー維持費などその他の費用はかかります)
したがって実店舗は値上げしたくてもすることができなくなります。
こうしてAmazonのECサイトの出現によって、世の中の物価が上昇しにくくなったと言われています。
言われてみると想像できますが、これは世界規模で起こったとなると、Amazonの影響力がいかに大きいか実感できます。
次に株式市場で使われている『Death by Amazon』や、楽天とAmazonのビジネスモデルの違いなどについてご紹介します。