Life Shift~人生100年時代!変革する人生モデルに伴う課題 では、変革する人生モデルに伴う政府や企業の課題についてご紹介します。
これまで2回にわたって、2016年に発売されたLife Shiftの内容を紹介しています。
Life Shiftでは、既存の人生モデルが崩壊し、人生100年時代の新たなる人生モデルが登場すると主張しています。
過去の記事では、既存の3ステージ(教育ステージ、仕事ステージ、引退ステージ)の人生モデルの崩壊と、人生100年時代における重要項目についてご紹介しました。
過去の記事はこちらからどうぞ。
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Life Shift~これまでの「教育・仕事・引退」の人生モデルは崩壊する~
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Life Shift~人生100年時代!新しい人生モデルを考えよう~
今回は、前回までの記事でご紹介した、既存の人生モデルから人生100年時代の新しい人生モデルへの変革に伴い、政府や企業、個人等の課題についてご紹介します。
そして今回がLife Shift最後の記事になります。
Life Shiftでは、以下の4つを変革の課題として挙げています。
Life Shift~人生100年時代!変革する人生モデルに伴う課題
1.自己意識
1つ目の課題は自己意識です。
100年の長い人生では、多くのことを成し遂げることが可能になります。
一人ひとりの選択と価値観が人生も出来事やステージの移行の順序を決め、それが自己意識、つまりアイデンティティを築いていくのだ。
アイデンティティを築くことは、人生100年時代には少し難しくなります。
しかし自らが己のアイデンティティを築くことができればとても充実した人生を送ることが可能になります。
自分が生まれた社会の伝統に従うのではなく、みずからの価値観や希望に沿った行き方ができるようになれば、それ以上の「長寿の贈り物」はないだろう。
これまでは、立ち振る舞いや着るものなどは、社会の伝統によって決まっていました。
自分の親世代と同じように、自分が属する社会階層や職業にふさわしいと思われる行動を無意識にとっていました。
これからはどうなるのでしょうか。
グローバル化が進み、世界とのつながりが増え、ローカルとグローバルが融合されます。
そのため、それらの情報をミックスして、自分が何者で、自分に何が可能であるのかを認識するようになります。
そしてアイデンティティを築く上で必要になるのが計画と実験です。
長い人生を生き抜くうえで計画を立てることはとても重要になります。
人間は、未来に関して楽観主義に流される傾向にあります。
また計画を立てて実験をすることも重要です。
昔のように特定のロールモデルに従っていればいい時代ではなくなり、ありうる自己像の選択肢が大きく広がる時代には、実験を通じて、何が自分にとってうまくいくのか、自分が何を楽しく感じ、なにに価値を見いだすのかなにが自分という人間と共鳴するのかを知る必要があるからだ。
自分の人生の計画を立てて、それを実現する、あるいはそれが自分に合っているのかを確かめるために実験をしながら見極めていくことが重要です。
また自己意識の課題としてもう一つ大切なことは、習熟です。
100年人生において、何かに打ち込むことは重要です。
何かに習熟しようと思ったら、強い意志を持って何百時間、あるいは何千時間もの時間を費やす時間があります。
習熟するうえで大切なことは、自己効力感と自己主体感です。
前述したように、ものごとを習熟するうえでカギを握るのは、自己効力感(自分ならできる、という認識)と、自己主体感(みずから取り組む、という認識)だ。
自己効力感を高めるためには、今世界が何が起きていて、その変化に対処するために何ができるかを考える必要があります。
一方、自己主体感を高めるのは少し困難です。
自己主体感を高めるために必要なのはセルフ・コントロール(自己抑制)です。
さらに将来の恩恵のために今厳しい選択ができるかどうかも重要になります。
セルフ・コントロールについては、個人のよって能力が異なり、後天的に鍛えることが可能であることが研究で分かっています。
セルフ・コントロールを鍛える方法については、本書の範囲外ですので、別の本をご参考にしてください。
セルフ・コントロールの研究で有名な研究者が以前の記事でもご紹介したKelly Mcgonigalさんです。
過去の記事についてはこちらをどうぞ。
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【TEDや書籍が話題に!】ストレスを味方につけて困難を乗り越える!~Kelly Mcgonigal~
Kelly Mcgonigalさんはスタンフォード大学の教授で、ストレスに関する研究が有名ですが、以前には意志力に関する研究も行っています。
そして意志力を鍛えるための本をいくつか出版しています。
過去の記事で紹介している「スタンフォードの自分を変える教室」です。
興味がある方は是非読んでみてください。
2.教育機関の課題
2つ目の課題は教育です。
100年もの長い人生になると、学習と教育の重要度は高まります。
教育にかける時間は長くなり、大学院に進む人も多くなります。
また、教育は若いぜ代が受けるためのものだけではなくなり、キャリアップやジョブチェンジ等の様々な目的で、一度就職した後に大学に戻ってくるケースを多くなります。
雇用環境の変化やリフレッシュを目的として大学で学び直すといったことも考えられます。
さらに、教育機関のありかたにも変化が訪れると本書では主張しています。
テクノロジーの発展により、大学に行かなくても学習が可能になる様々な手段が登場しています。
オンラインで授業が受けられたり、デジタル学位・能力認定が普及することで既存の教育システムにおいては快適なイノベーションが起きつつあります。
このような状況では、既存の教育機関も変化せざるをえなくなります。
もともと教育機関は保守的な産業ですが、このような状況下では変化せざるをえなくなるでしょう。
問題は、どのように変化するかです。
これまでの教育の内容についても抜本的な変化が必要になります。
既存の教育システム、とくに日本の教育では、詰め込み教育型が主流とされ、これから到来する時代には対応できない教育システムとなっています。
大切なのは、自分で考え、判断・選択・行動ができる人材を育てることです。
3.企業の課題
3つ目の課題は企業です。
既存のライフモデルが崩壊し、新たな人生モデルが到来しつつあるこれからは、企業が対応しなければならない課題がたくさんあります。
本書では、企業に求められる以下の6つを挙げています。
- 無形の資産に目を向ける
- 移行を支援する
- マルチステージの人生を前提にする
- 仕事と家庭の関係の変化を理解する
- 年齢を基準にするのをやめる
- 実験を容認・評価する
人生100年時代の到来に伴う変化に対応するための6つのポイントが抑えられています。
新たな人生モデルでは、これまでの3ステージの人生モデルとは異なり、マルチステージの人生モデルになります。
したがって、一つの企業に働き続けることはなくなり、キャリアチェンジや働き方を変えながら様々なステージへと進むことになります。
このような状況では既存の雇用システムは機能しません。
現状を支援するように企業も変わっていかなければ企業自体の存続も難しくなります。
現状の日本企業に目を向けると、これら6つの項目への対応はかなり遅れていると思います。
特に新卒一斉採用制度のような若い世代をまとめて雇用する制度は成り立たなくなることは明らかです。
これからは大学を卒業してもすぐに就職するという選択肢だけではありません。
雇用しても数年で転職することも十分にあります。
今のような一斉制度を続けていても人も集まらないですし、集まったとしてもすぐに人が離れていきます。
大切なことは年齢を気にすることなく、フレキシブルに人材を確保できる制度です。
4.政府の課題
最後の課題が政府です。
Life Shiftでは、政府の課題として、法制度や税制度、社会保障制度、雇用制度、結婚制度、教育制度など検討が必要になる課題は山積みです。
最も問題となるのが財政の問題です。
引退年齢が引き上げられないまま、平均寿命が上昇すると、必然的に年金、医療コストは増大します。
政府が真っ先に検討が必要になるのは財政支出の見直しです。
その他にもLife Shiftでは政府の課題として重要となるキーワードを紹介しています。
それは以下のつです。
- 3ステージの前提からの脱却
- 既存の分類は役に立たない
- 不平等という試練
現在の制度や政策は年齢が大きな役割を持つ3ステージの人生を前提に作られています。
今後はこのような年齢によるステージ分けは難しくなります。
つまり年齢に準拠しない新たな制度を考案することが必要になります。
つまり、3ステージの前提からの脱却が必要になります。
また、既存の分類が役に立たないということも問題になります。
多くの国の政府は仕事のステージに関する
法制度を作る際には、すべての働き手がフルタイムとパートタイムに分けられることを前提に作っている。
しかし、これからは様々な働き方が出てくる。
このような状況下では既存の法律ではカバーできない部分も出てくることになります。
政府が取り組むべき課題は多岐にわたります。
産業革命の際には、働き方の変化に対応する法整備に何十年も要したように、現在起きている変化に対応するためには今後数十年要することになるかもしれません。
最後に不平等という試練が一層表面化します。
不平等の問題については、大きく2つ紹介されています。
1つは、所得レベルの寿命格差が広がっているということです。
豊かな人は貧しい人よりも長生きする傾向があります。
2つ目は100年ライフを災いなく生き延びるためにはスキルや教育、知識の移行を成功させるための資金が必要になるということです。
これらの資金を十分に持っているのは主に所得上位25%のみであるといわれています。
このような不平等な社会構造に対応することも政府の重要な課題の一つになります。
低所得者層への対応が不平等の広がりを最小化することにつながります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事がLife Shiftシリーズ最後になります。
ここでは、既存の人生モデルから新しい人生モデルへの変革に伴う、政府や企業が抱える課題についてご紹介しました。
政府や企業の課題だけではなく、我々の自己意識に関する課題もたくさんあります。
大切なことは、これからの人生においては絶対的なロールモデルが存在しないということです。
一人ひとりが自ら考えて計画・選択・実験・実行していくことが大切になります。
前述した課題で最も大きな課題となっているのが、時代の変化のスピード感に対して、企業や政府の対応のスピードが非常に遅いということです。
変化を促すためには、我々個人の意識変革も重要になります。
それぞれが考え、自身のキャリアについて考えたうえで行動すれば、自然とキャリアチェンジをしたり、キャリアアップのために新たな決断をすることが増えます。
そうすれば、そのような変化に対して国や企業も動かざるを得なくなります。
我々一人ひとりの自己意識の改革が企業や国の意識改革につながるのです。
この記事を読んで今後の人生について考えてみようと少しでも思っていただければ幸いです。
そのためにはまずはLife Shiftを手にとって、今世界でどのような変化が起きているかを知ることから始めることをお勧めします。
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