Life Shift~これまでの「教育・仕事・引退」の人生モデルは崩壊する~ ということで、今回から数回にわたって「Life Shift」という本の紹介をしていきたいと思います。
Life Shiftは、2016年に発売され、著者はリンダ・グラットンさんとアンドリュー・スコットさんです。
2017年はやたらと「人生100年時代」という言葉を耳にしましたが、この本がその流行のきっかけとなった本です。
発売からだいぶ時間が経過して、ようやく日本のマスコミにも頻繁に取り上げられるようになりました。
この本では、既存の人生モデルの変化や、仕事やお金に対する考え方の変化など、激変するこれからを生き抜くために今何が起こっていて、これからどのような未来が想定され、私たちはそれに対してどう向き合っていかなければならないのかについて書かれています。
これからの人生は、私たちの親世代が生きてきた時代とは全く異なります。
したがって、親と同じことをやってもうまくいきません。
変化に気づき、それに伴って柔軟に対応していくことが必要です。
今回は、「既存の人生モデルの変化」ということに焦点を当ててご紹介します。
また、著者(シリーズの最初なので)や既存モデルが変化する要因についても取り上げます。
目次
Life Shift~これまでの「教育・仕事・引退」の人生モデルは崩壊する~
1.著者について
まずは著者のリンダ・グラットンさんとアンドリュー・スコットさんについて軽くご紹介します。
リンダ・グラットンさんは、ロンドン・ビジネススクールの教授です。
人材論と組織論の世界的権威で、世界で最も権威ある経営思想家ランキングである「Thinkers50」で2003年以降毎年ランクインされている、非常に強い影響力を持ったお方です。
また、組織のイノベーションを促進する「Hot Spots Movement」の創始者であり、「働き方コンソーシアム」を率いています。
これは働き方の未来について書かれています。
今回紹介するLife ShiftはこのWork Shiftの続編のような扱いです。
アンドリュー・スコットさんは、ロンドン・ビジネススクールの経済学教授です。
2005年からはモーリシャス大統領の経済アドバイザーも務めているそうです。
とにかくどちらもすごいお方です。
これだけ影響力のある方が書いた本ですから世間でも注目されるわけです。
ただこの本が発売されてからの動向を見ていると、日本のニュースで取り出されたのは少し遅かった印象です。
2.これまでの人生モデル
それでは本の中身に食い込んでいきます。
まず、Life Shiftで訴えていることの一つは、
「既存の人生モデルは崩壊するので新たな人生モデルに対応する必要がある」
ということです。
では、既存の人生モデルとは何でしょうか。
それは我々の親や祖父母世代(1945年ごろに生まれた世代の方々)の歩んできた人生モデルのことを指します。
この時代の方々の典型的な人生モデルは、3ステージに分けられます。
それは、教育のステージ、仕事ステージ、引退のステージです。
なんとなくイメージが付くとは思いますが、一つずつ見ていきます。
まずは、教育のステージです。
これは生まれてから仕事に就くまでの期間を指します。
本では大学を卒業して就職する22歳あたりまでが教育のステージとされています。
次が仕事のステージです。
これは大学を卒業してから退職するまでの期間を指します。
一般的には大学を卒業してから就職し、60歳で引退します。
期間は約40年です。
そして最後に来るのが引退のステージです。
これは退職してから亡くなるまでの期間を指します。
一般的には60歳で退職した以降が引退のステージになります。
これまでの世界では、ほとんどの方々がこれら3つのステージでうまく機能していました。
しかし時代が進むにつれてこれら3ステージの機能だけでは対応しきれなくなってきています。
その主要な要因を次にご説明します。
3.平均寿命・健康寿命が延びる
既存の人生モデルが崩壊する一番の要因となるのが、「平均寿命と健康寿命の延び」です。
日本を例にあげますと、厚生労働省の2016年のデータによりますと、平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳です。
日本は世界でも長寿国としても知られていますが、日本に限らず主要先進国の平均寿命は男性で70代後半、女性で80代まで伸びている国はたくさんあります。
平均寿命は現在も伸び続けており、Life Shiftでは、2007年にアメリカ、カナダ、フランス、日本などの主要先進国で生まれた子供の50%が100歳まで生きるとの報告がなされています。
今日までに至る平均寿命の改善の要因は、時系列ごとに要因を列挙すると、乳幼児死亡率の改善、子供の死亡率の改善、中高年の慢性疾患(特に癌や心臓血管系)の対策の進化、病気の早期発見技術の向上、高齢にまつわる病気の克服などが挙げられます。
平均寿命の上昇には、健康、栄養、医療、教育、テクノロジー、衛星、所得などの多分野における状況の改善が影響しています。
さらに、これらの要素で平均寿命が延びると健康寿命も上昇します。
健康寿命が増えると、60歳で引退しても元気に働ける人々が確実に増えてきます。
現在でも70歳、80歳を超えても現役で働いている方はいらっしゃいます。
そうなれば年金だけで生活することは困難になります。
また、元気な分何かをしようとする気力もまだまだ残った状態で引退することになります。
こうなると既存の人生モデルは限界に至るでしょう。
4.社会保障制度の限界
平均寿命が延びることで一番問題になるのが社会保障費の増大です。
特に年金に関しては年々予算が増え続けています。
今後さらに増えていくことは明らかです。
過去の記事で、日本の年金制度の歴史について軽く触れました。
年金制度が始まった国民年金制度発足時(1961年)の日本の平均寿命は、男性で66.03歳、女性が70.79歳です。
当時は年金受給開始年齢は60歳です。
つまり受給期間は男性で約6年、女性で約8年です。
しかし現在では受給開始年齢は65歳ですので、男性で約16年、女性で約22年です。
受給期間は発足時の2倍以上です。
さらに少子高齢化によって年金の運用はますます悪化します。
今後、年金受給開始年齢がさらに遅くなるのは時間の問題です。
そうなれば60歳や65歳で引退しても、最低でも年金受給開始までの期間は何かしらの形で働くことを続けなければいけません。
もはや年金制度がなくなるということも十分に考えられます。
さらには60歳で引退するという概念が今後はなくなると思われます。
こうなれば「今までのように働いている期間に払った年金で余生を楽しむ」というこれまでの人生モデルが崩壊することは明らかです。
5.新たな人生モデル
ここまでで、既存の人生モデルに限界がきていることはわかりました。
では、これからの我々の人生はどのようなものになるのでしょうか?
Life Shiftでは、これまでの「教育・仕事・引退」の3ステージの人生モデルではなく、これからは4ステージあるいは5ステージの人生モデルになると主張しています。
これまでは、教育のステージでは周囲の仲間と競って勉強し、大学を卒業したら就職して定年まで同じ企業では働き、退職金や貯蓄や年金で引退生活をするというのが通説でしたが、これからの人生モデルはより多様化し、リスクを負って自分で行動を起こしていかなければならなくなります。
ある人は、大学を卒業してもすぐには就職せずにボランティアや留学をして自分が興味のあることを追求する。その間に様々な出会いがあり、同じような志を持った仲間ができて新たな会社を立ち上げる。
ある人は大学を卒業後、就職してしばらく働いたが、社会的な変化やニーズに対応するために退職して大学で学びなおして新たなスキルを身につけてジョブチェンジする。
ある人は企業には属することなく、フリーランスとして様々な企業とコラボレーションして収入を得る。
このように人によってさまざまな選択をする必要が出てきます。
これまでのように周りの人々と同じように行動してもうまくいかない時代が到来しつつあります。
重要なことは、自分でどのような人生を歩みたいのかを考えて自ら選択・行動していくことです。
人生100年時代では、引退の時期も人それぞれです。
60歳で引退してもその後40年は生きることになるので、よほどの資産がないと生活できるはずがありません。
そのためには70代や80代まで何かしらの形で仕事を続けることになるでしょう。
このような時代の変化の到来に向けて、Life Shiftではいくつかの分野にフォーカスして説明しています。
その分野とは、主に以下の6つです。
- 人生の3つの資産:生産性資産、活力資産、変身資産
- 雇用形態の変化
- 新しいお金の考え方
- 新しい時間の考え方
- 未来の人間関係
- 新たなステージ
さらにこれらの変革に対する課題についても言及しています。
これらの説明は次回に詳しくしていきたいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、Life Shiftで主張されているこれまでの人生モデルは崩壊し、それに対する主要な要因をご紹介しました。
既存の人生モデルは、教育・仕事・引退の3つのステージです。
主要因としては、平均寿命・健康寿命の上昇と社会保障制度の限界が挙げられます。
これからの人生はこれとは全く異なるものになるでしょう。
これからは人々がそれぞれの人生モデルを歩んでいく必要があります。
今回は既存の人生モデルが限界にきていることについてフォーカスしてご説明しました。
次回をお楽しみに!
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