こんにちは。TATです。
今回は株の分析結果をご紹介します。
テーマは「コロナショックによる株価暴落」です。
2020年2月あたりから本格的に株価が下落し、多くの方が損失を被ったのではないでしょうか。
僕自身も少なからずダメージを受けましたが、得意の高速損切りで含み損で血まみれになる前に売り逃げることができましたw
過去の記事でもご紹介している損切りルールに救われました。
【損切りできない方へ!】「損切り」の必要性について力説します【僕の損切りラインも公開】
また出来高に注目して株価をみていたおかげで、暴落をわりと早く察知することができました。
正直なところ、暴落の確信はなかったのですが、出来高の動きを見ながら「これちょっとやばいんじゃね」と感じて、その後下落トレンドになりそうなタイミングで売り抜けました。
出来高に注目している方はあまりいないように感じますが、結構読み取れる情報が多いのでオススメです。
こちらの記事でも解説しています!
【投資家の動きを察知!】「出来高」の特徴や活用法に ついて解説します!
今回のコロナショックによる株価暴落は、2月初旬から本格的に暴落が始まり、1ヶ月ほどに渡って大きな下落トレンドを形成しました。
この暴落について少しデータをかき集めて調べてみたので、ここではその結果をシェアしたいと思います。
ちなみに調査は2020年5月10日に取得したデータをもとに行っています。
結論としては、想定通りの結果でした。株が時代の流れをいかによく反映しているかを再確認できる結果でした。
目次
【市場・業種・テーマ株で分析】コロナショックによる株価暴落について調べてみた
1. 調査の条件について〜暴落期間設定や分析対象銘柄について〜
まずは調査結果をご紹介するまでに、今回調査を行なった条件についてご紹介しておきます。
調査のために必要なデータを取得したのは2020年5月10日です。
対象とした銘柄については東証上場銘柄としました。
東証のサイトに銘柄一覧があるので、こちらの情報をもとに各銘柄のデータを取得しました。
→ 東証上場銘柄一覧
それぞれの銘柄に対して、こちらの記事でもご紹介している、基本情報やテーマ情報を取得しました。
【2020年のテーマ株も考察!】2019年の株価上昇率ランキングトップ50銘柄を分析したらトレンドや話題が見えてきた。
また、暴落期間についてはTOPIXを基準に設定しました。
日経平均も有名な指標ですが、ここでは東証1部銘柄すべて対象で、かつ時価総額ベースで算出されているTOPIXの方が市場全体の動きを捉えられていると判断してこちらを基準に採用しました。
さて、TOPXの動向から、暴落期間を直前の高値をつけた2020年2月6日から底値をつけた2020年3月17日と設定しました。
ゆえに2020年2月6日を終値と2020年3月17日の終値から下落率を算出して分析しました。
ちなみに日経平均で見ても、直近の高値は同じ2020年2月6日で、底値は2020年3月19日なのでほとんど変わりません。
それではさっそく分析結果を順番に見ていきましょう!
2. 市場別では、東証一部より新興株の下落が大きい
まずは市場別で確認してみます。
とりあえず結果から見せちゃいますね。
「diff」カラムが下落率です。40であれば40%の下落を意味します。
ここでは下落率が大きい順に並べてあります。
市場 | diff |
---|---|
JQG | 42.402077 |
東証M | 38.256437 |
JQ | 31.126701 |
東証2 | 29.586149 |
東証1 | 28.847903 |
結果をみると、マザーズやJASDAQの新興銘柄の下落率が大きいことがわかります。
東証一部銘柄の下落率が一番小さいことがわかります。
やはり新興銘柄は、上昇時の勢いはものすごい分、下落時も大きな影響を受けることがわかります。
流通量が大きい東証一部銘柄の方がボラティリティは低くなる傾向にあるので、これは予想通りの結果となりました。
次に、もう少し細かい分類で見てみます。
こちらは東証から取得したデータにあった「市場・商品区分」カラムで集計したものになります。
ETFも含まれており、銘柄も内国株と外国株で別れているので、より細かい分析ができます。
市場・商品区分 | diff |
---|---|
マザーズ(外国株) | 45.609436 |
JASDAQ(グロース・内国株) | 42.402077 |
マザーズ(内国株) | 38.276499 |
JASDAQ(スタンダード・外国株) | 33.014354 |
市場第一部(外国株) | 32.000000 |
REIT・ベンチャーファンド・カントリーファンド・インフラファンド | 31.341105 |
JASDAQ(スタンダード・内国株) | 31.126701 |
市場第二部(内国株) | 29.554725 |
市場第一部(内国株) | 28.847903 |
市場第二部(外国株) | 27.586207 |
ETF・ETN | 14.296986 |
先ほどの結果と同様に新興銘柄の下落率が大きいことがわかります。
そしてETF・ETNは下落率が圧倒的に少ないことも確認できますね。
ETF・ETNは複数銘柄で構成されているものが多いので、リスクが分散されている分、下落率も小さくなります。
もちろん上昇相場の際の上昇率も個別銘柄に比べて限定的になります。
3. 業種別では、シクリカル銘柄とディフェンシブ銘柄で明暗がはっきり分かれた
次に業種別でみていきます。
業種としては、17業種区分と33業種区分の2種類があります。
順番に見ていきましょう。
まずは17業種区分です。
17業種区分 | diff |
---|---|
不動産 | 35.284865 |
情報通信・サービスその他 | 33.840301 |
電機・精密 | 33.111165 |
鉄鋼・非鉄 | 32.332466 |
金融(除く銀行) | 30.796408 |
自動車・輸送機 | 30.766529 |
機械 | 30.522194 |
小売 | 29.233727 |
建設・資材 | 28.896287 |
医薬品 | 28.834718 |
銀行 | 28.120745 |
素材・化学 | 27.742440 |
エネルギー資源 | 27.083469 |
商社・卸売 | 26.951838 |
運輸・物流 | 23.249853 |
食品 | 18.877167 |
- | 18.313660 |
電力・ガス | 16.837529 |
不動産が一番下落していますね。
業種別にみると、やはりシクリカル株(景気敏感株)の下落率の大きさが目立ちます。
反対にディフェンシブ銘柄については下落は限定的です。
これも暴落時の典型的な動きで、景気に大きく左右されるシクリカル銘柄は大きく下落します。
トレーダーが業績悪化を懸念して、不景気を察知するとすぐに売り払ってしまうんですね。
反対に、常に需要がある電力などのディフェンシブ銘柄にシフトするのでこちらの下落幅の方が小さくなる傾向にあります。
こちらの記事でも解説しています。
景気動向指標にもなる「ディフェンシブ銘柄」とは?【特徴やメリット・デメリットを徹底解説】
次に33業種区分で分類したデータを見てみましょう。
33業種区分 | diff |
---|---|
サービス業 | 36.353832 |
不動産業 | 35.284865 |
空運業 | 34.770301 |
電気機器 | 33.632546 |
非鉄金属 | 33.318596 |
情報・通信業 | 32.244776 |
鉄鋼 | 31.552736 |
その他金融業 | 31.416753 |
ガラス・土石製品 | 31.171191 |
輸送用機器 | 30.921454 |
保険業 | 30.729760 |
精密機器 | 30.684740 |
機械 | 30.522194 |
証券、商品先物取引業 | 30.292440 |
その他製品 | 30.026100 |
ゴム製品 | 29.974690 |
金属製品 | 29.630654 |
小売業 | 29.233727 |
医薬品 | 28.834718 |
化学 | 28.679792 |
海運業 | 28.264137 |
銀行業 | 28.120745 |
建設業 | 27.700024 |
鉱業 | 27.294063 |
石油・石炭製品 | 26.968600 |
卸売業 | 26.951838 |
繊維製品 | 25.362128 |
パルプ・紙 | 24.935362 |
水産・農林業 | 24.239353 |
陸運業 | 22.145969 |
倉庫・運輸関連業 | 21.633998 |
食料品 | 18.385634 |
電気・ガス業 | 16.837529 |
こちらのデータを見てもやはりシクリカル銘柄とディフェンシブ銘柄できれいに別れています。
特にサービス業や空運業は深刻なダメージを受けていますね。
既存店舗は営業を停止して、さらに世界中の航空機が空港で待機しまくっています。
株価からも最も影響を及ぼす分野を確認することができます。
さらに海外とのやりとりが多い鉄鋼や電気機器などの代表的なシクリカル銘柄も大きなダメージを受けています。
一方で、食料品や電気・ガス業など常に需要があるディフェンシブ銘柄は下落が小さいことがわかります。
暴落時の典型的な動きが反映されていることが確認できました。
4. テーマ別でみると、新型コロナが影響を与える分野が浮き彫りになった
最後にテーマ株ごとに見てみましょう。
これはこちらの記事でもご紹介しているように、株探に表示されている各銘柄のテーマを収集して分析したものになります。
【2020年のテーマ株も考察!】2019年の株価上昇率ランキングトップ50銘柄を分析したらトレンドや話題が見えてきた。
ちなみにですが、このテーマを収集するとテーマに該当する銘柄が1つだけみたいにレアなテーマがほとんどです。
各テーマごとの該当銘柄数をヒストグラムで見てみるとこんな感じになります。
数銘柄しか当てはまらないテーマがたくさんあることがわかります。
これを全部当てはめるとかなり偏った結果になってしまうので、ここではこのデータの中央値である14を基準とし、該当する銘柄数が14社以上あるテーマに絞って集計しました。
暴落率のトップ20とボトム20をご紹介します。
まずは最も暴落した20テーマをご紹介します。
「mean」カラムが下落率の平均、「count」カラムが該当する銘柄数を示しています。
テーマ | mean | count |
---|---|---|
旅行サイト | 45.716029 | 15 |
人材 | 44.531673 | 40 |
イベント | 43.310233 | 36 |
製造請負 | 42.923202 | 14 |
不動産再生 | 42.044344 | 22 |
カラオケ | 41.563690 | 15 |
外国人労働者 | 41.097223 | 24 |
リノベーション | 40.693729 | 27 |
不動産ファンド | 40.537919 | 17 |
インフルエンサー | 39.891142 | 22 |
求人情報 | 39.848158 | 42 |
動画広告 | 39.687500 | 16 |
中古マンション再生 | 39.632282 | 25 |
転職支援 | 39.395705 | 24 |
営業・販売支援 | 39.323119 | 85 |
マーケティング | 39.274194 | 106 |
就職支援 | 39.248807 | 18 |
CRM | 39.114272 | 35 |
人材紹介 | 38.977349 | 64 |
技術者派遣 | 38.871393 | 39 |
やはり旅行サイト、人材系、イベントなど、人の接触や移動が避けられないテーマ株は大きく下落していることがわかります。
さらに景気悪化を懸念しているためか、転職支援や就職支援などの求人系のテーマ株にも大きな影響を与えていることがわかります。
コロナにダイレクトにダメージを受けるテーマ株がしっかりと株価にも反映されていることがわかります。
次に下落率が小さかったテーマ株トップ20を見てみましょう。
テーマ | mean | count |
---|---|---|
調剤薬局 | 15.276333 | 20 |
調味料 | 15.756727 | 25 |
インスタント食品 | 16.206323 | 22 |
宅配便 | 17.681840 | 14 |
冷凍食品 | 18.070720 | 26 |
内食 | 18.502804 | 42 |
ディフェンシブ | 18.833200 | 69 |
大衆薬 | 18.852080 | 41 |
ドラッグストア | 18.877329 | 24 |
LPG | 18.954442 | 35 |
家庭用燃料電池 | 18.975744 | 15 |
乳酸菌 | 19.642707 | 24 |
菓子 | 19.716386 | 21 |
エネルギー | 20.158757 | 28 |
厳冬対策 | 20.437763 | 42 |
サプリメント | 20.613487 | 23 |
花粉症対策 | 20.969694 | 62 |
総菜 | 21.329983 | 26 |
中食 | 21.512310 | 31 |
衛生 | 21.697705 | 104 |
結果を見てみると、やはりディフェンシブが入っていますね。
そしてコロナ対策に重要な「衛生」のテーマ株の下落率が最も小さいことも興味深い結果です。
そのほかにもインスタント食品、冷凍食品、菓子など引きこもり生活に重要なテーマ株が目立ちます。
調剤薬局やドラッグストアも下落率が小さいですね。
この辺りはマスク効果もあって売上としては増加しているので、株価に反映されていますね。
かなり納得感のある結果になりましたね。
そして何より面白いのが、株を調べていると時代動向がいかに正確に反映されているかと言うことです。
今回はコロナショックに伴う株価暴落でしたが、やはり分析してみるとコロナの影響が大きい銘柄が下落幅が大きくなる傾向にあり、影響の小さいものが下落幅が小さくなります。
そして常に需要が存在するディフェンシブ銘柄は下落幅は比較的小さくなります。
株価の動きを見ているだけで、世の中の流れが手に取るようにわかることが改めて確認できました。
逆を言えば、このコロナショック中やコロナ収束後の世界で何が主流になるのかを適切に見極めることができれば、今から先行投資しておけば将来的には大きな利益につなげることができるかもしれません。
そのためには市場動向とコロナの動向を見極めつつ、今後の世界の流れを注意深く観察し続けることが重要です。
やはり株価は時代を適切に反映しているものであり、逆を言えば時代をうまく読むことができれば誰でも株で儲けられるということにもなります。
データの分析・可視化にはPythonが最適!
本記事で紹介したコードは、全てPythonを使って書いています。
Pythonはデータの分析や可視化を得意とするプログラミング言語で、さらにAI関連のライブラリーも豊富で昨今のAIブームで需要が急拡大しています。
→ 【いますぐ始められます】データ分析をするならPythonが最適です。
また、Pythonは比較的学びやすい言語でもあります。
実際、僕は社会人になってからPythonを独学で習得して転職にも成功し、Python独学をきっかけに人生が大きく変わりました。
→ 【実体験】ゼロからのPython独学を決意してから転職を掴み取るまでのお話。
Pythonの学習方法についてはいろいろな方法があります。
僕はUdemyを選びましたが、書籍やプログラミングスクールも選択肢になります。
→ 【決定版】Python独学ロードマップ【完全初心者からでもOKです】
→ 【まとめ】Pythonが学べるおすすめプログラミングスクール
→ プログラミングの独学にUdemyをおすすめする理由!【僕はUdemyでPythonを独学しました!】
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ここではコロナショックによる株価暴落について分析してみました。
市場、業種、テーマ株ごとに分類してそれぞれの下落率を比較しました。
結果として、株価が時代の動向を適切に反映していることを改めて確認することができ、シクリカル株は大きく下落し、ディフェンシブ株の下落幅限定的な結果となりました。
逆を言えば、これからの時代の流れを先読みすることができれば、今から先行投資しておくことで将来的には大きな利益につなげることも可能になるかもしれません。
今回のようにPythonを利用してデータ収集・分析すると、普段見る情報よりもオリジナルの分析をすることができます。
ここで新しい発見をすることができれば周りよりも早くチャンスを掴んで先回りして投資することも可能になります。
今後も継続的に色々と株について分析をしていこうと思います。
【損切りできない方へ!】「損切り」の必要性について力説します【僕の損切りラインも公開】
【投資家の動きを察知!】「出来高」の特徴や活用法に ついて解説します!
【2020年のテーマ株も考察!】2019年の株価上昇率ランキングトップ50銘柄を分析したらトレンドや話題が見えてきた。
景気動向指標にもなる「ディフェンシブ銘柄」とは?【特徴やメリット・デメリットを徹底解説】